孫子 ★★★☆☆

孫子 ★★★☆☆
この本は孫子の兵法の読み下し文と現代語訳、巻頭に簡単な解説があるだけの本当に基本的な構成になっている。

第1章の計篇は戦争の前によく熟慮すべきことを述べたもので全編の序論にあたる。
第2章の作戦篇は戦争を始めるにあたっての軍費の問題から動員補充などの計画におよび、第3章の謀攻篇は謀慮による攻撃、すなわち「戦わずして勝つ」の要道を述べている。
以上の3篇が総説にあたる。

これにつづく3篇は戦術原論とも見られるもので、第7章から各論が展開される。そして第12章で火攻め、第13章で用間、すなわちスパイの用い方を述べ、全体を締めくくる。

孫子の兵法を学ぼうと思われる方が最初に手にするのが、おそらく岩波文庫だと思う。岩波文庫と講談社学術文庫は、その知名度からしても、もっとも身近な本だ。関連書籍の中には、孫子の教えを読み違えているものも存在するので、原文を読んでおくことは大切だと思う。その点、岩波文庫の解説は余計なことが書かれておらず、読みやすい読み下し文と簡単な現代語訳だけなので、最初の1冊としては最適だと思う。

春秋戦国時代、斉、楚、秦、燕、韓、魏、趙の7カ国が覇権を競い、戦国の七雄が割拠する時代。斉の出身で呉王闔閭(こうろ、またはこうりょ)に仕えた孫武が記した『孫子の兵法』は、その後中国で広く読まれることになり、三国志時代には武帝(曹操)が魏武注孫子を残し、わが国日本には遣唐使として唐に渡った吉備真備(695~775)が孫子の兵法を持ち帰った。

日本人が初めて孫子の兵法に触れたのは奈良時代のことである。わが国の戦国時代には武田信玄が孫子の兵法から「風林火山」の4文字を取り、旗印にした。江戸時代には孫子が広く印刷され、さまざまな注釈を生むことになる。幕末の吉田松陰も孫子を読んだ一人だった。だが、日本では、明治に入り西洋の軍事思想が入ってくると孫子の兵法はあまり注目されなくなってしまう。

だが、近現代に入ると毛沢東が読み、ホー・チ・ミンが読み、ベトナム戦争で手痛く敗北したアメリカ軍も孫子の兵法を学ぶようになる。近年では湾岸戦争で戦ったアメリカ軍が孫子の兵法と戦争論を学んだと言われている。

講談社学術文庫は解説が難しいので、それより簡単なこちらの本で基本を押さえたほうが取りつきやすい印象はある。この本で紹介されていた孫子の人物像を語る逸話は史記からの引用なので、いつか史記も読んでみたい。
 
新訂 孫子 (岩波文庫)
岩波書店
2000-04-14



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