この本はスウェーデンの児童文学ですが、英語で読む本としても十分楽しめます。大枠はピッピがトミーとアンニカという近所の子どもと友だちになって一緒に遊ぶ話です。ピクニックに行ったり、サーカスに行ったり、誕生日パーティーを開いたりと実に子どもらしい遊びです。しかし、その裏側でピッピが大人社会に溶け込めないという社会の悲しさも描かれています。両親のいないピッピを児童施設に連れていこうと警察官が訪れたり、学校教育になじめず、学校を去ったり、ティーパーティーに招待されるけどご婦人方から疎まれたりするピッピの姿というのはとても寂しい。そして、最終章の誕生日パーティーでピッピが「大人になったら海賊になりたい。」と叫ぶシーンは、私には作者の本当の気持ちが測りかねました。

日本語訳は講談社文庫から出版されているのですが、これにはピッピがヒロインになる第10章が掲載されていません。講談社英語文庫では全部で11章あり、第10章はピッピが火災現場から子どもを救いヒロインになる章となっています。このヒロインになる章を読んでから最終章の誕生日パーティーを読むのと、ティーパーティーから最終章に入るのとでは、物語の印象がまったく違ってしまいます。ティーパーティーでご婦人方から疎まれた話の次に海賊になると叫ぶシーンが入ってくると、社会に溶け込めないピッピが海賊にという流れになってしまいます。しかし、火災現場から子どもを救う章から海賊になるという流れではピッピは必ずしも社会に溶け込めていないことにはなりません。ピッピは人々の賞賛を受ける立派な子どもで、しかも面倒見のいい姉御肌のピッピの姿がしっかり描かれているのが『ピッピ、ヒロインになる』の第10章です。勝手に話を編集して物語を変えてしまった日本語訳はいただけません。この本を楽しむには、きっちりすべての話を翻訳した日本語訳を探す必要がありそうです。

英語学習の方法としては、アマゾンで『Pippi Longstocking cd』と検索してオーディオブックを見つけ、日本語訳と洋書をそろえるのが一番ハードルを低くした方法です。オーディオブックを毎日1時間聞いて日本語訳を読んだあとに洋書に取り組むと読み方に迷わず読めます。私は読む時に音読するようにしています。英語は音読と断言している参考書は多々ありますが、どうせ音読するなら洋書を毎日少しずつ音読して楽しんだほうが、1冊の本を長く楽しめます。慣れてくると発音にもアクセントにも迷わず、結構スラスラ音読できるようになります。100万語多読学習を、私は100万語多読音読学習として英語を勉強しています。これで結構手応えを実感しているのでお勧めしてもいいように思っています。皆さんも、それぞれご自身の勉強法をお持ちでしょうが、この『長くつしたのピッピ』は読みやすい本なのでお勧めできます。


この記事を友達に知らせてみませんか?