「孫子」を読む  ★★★★☆

書評
浅野裕一氏の『「孫子」を読む』。

浅野氏は講談社学術文庫で『孫子』を執筆されている東北大学大学院の教授だ。この解説書は他に見ないほど具体的に孫子の兵法を解説している。

この本は第1章で孫子についての略歴を解説し、第2章で太平洋戦争での日本軍の敗因を例に採って孫子の兵法を解説し、第3章で孫子の兵法と日本人の関係についてまとめている。

私が一番印象に残ったのは、第2章第7部の軍争篇についての解説だ。

迂直の計について解説している章で、孫子の兵法では「迂を以て直と為し、患いを以て利と為す」の句が有名だ。この章は孫子の兵法の中でも難しい部分で、浅野氏は孫賓兵法から具体例を引いて解説している。

孫子は戦地で相手より先に布陣し待ち構える事を重視する。戦地では敵より早く到着し敵軍を待ち構えるのが最善だという。だが、敵が先に戦地に至り、遅れて戦地へ赴かざる場合はどうするか。

ここで孫賓兵法をひも解いて孫子の兵法の解説を助ける。

孫賓が取った戦略は、敵が攻め込んだ国へ援軍を出さず、まず敵国の要所を攻めた。次に国境を荒らしまわり、敵将の憤激を誘い、敵が自国へ下って遠征してきた所を待ち構えて打ち破った。

孫子は常に戦場で優位に立つことを考える。不利な状況で無理に応戦しない。不利な戦況は一時的に捨て置いて、別の手段を使って有利な戦況を作り出し、そこへ相手を誘い込んで勝利した。

普通の人は不利な状況で不利なまま応戦しがちだが、孫子は違った。孫子は実に柔軟な発想を持って、常に優位に立てる状況でしか戦わなかった。現状が不利なら、有利になれる戦場を作り出してしまえという発想。

それが「迂直の計」だ。

講談社学術文庫の『孫子』だけでは理解できない部分を『「孫子」を読む』は補ってくれる。同じ著者が書いている本だけあって、内容も併せて読むと理解を深めてくれる。

孫子愛好家にはぜひお勧めの1冊である。


登録、よろしくお願いします。

 

「孫子」を読む (講談社現代新書)
浅野 裕一
講談社
1993-09-16



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