星の王子さま ★★★★★

小説
星の王子様は、主人公の子供の頃の回想、飛行機が墜落してからの現在、王子さまとの会話の回想、王子さまの回想、王子さまの帰還と主人公の現在という構成になっている。

それ故、初めから本を読もうとすると王子さまの惑星探訪の辺りから話が見えなくなる。
一冊通して話を理解すると、ようやくそこで、この本の全体像が見えてきて、途中の長々とした王子様の惑星探訪の章が理解できる。

そして、二回目に読むと、話の最初と最後が結びつき、前編の王子さまの感情が理解し易くなる。そこで初めて、王子さまは何を大切に思い、なぜ前編で実業家を引き合いに出して主人公をキノコと言ったのかなど、細部まで納得しやすくなる。

そして、星の王子さまを現実的に考えると「質問に答えない王子さま」というは難しい人のように思える。

だが、ここがこの話の魅力の一つになっている。

質問しても答えてくれない王子さまが時々自分のことをぽつりと話す。そこから王子さまの世界が少しずつ明らかになる。そして王子さまの全てが分かった時、仕組まれた別れが突然訪れる。王子さまに流れる時間と「僕」に流れる時間が重なった時、感動とさらに深い悲劇が一度に起こる。そして王子さまの時間が終焉を迎え、「僕」の時間だけが無常にも流れ続ける。

この二つの時間軸を見事に組み合わせた構造的な美しさ。さらに、この話は「僕」が最も王子さまに想いを重ねた時、そして読者の王子さまに対する想いが最高潮に達するとき、仕組まれたようにその仲を引き裂かれてしまう。

だが、王子さまの星への帰還は「死」ではなく、「僕」に「幾千万の笑う鈴」の贈り物をして残された「僕」が悲しみに暮れないように希望の光を残している。

この点で、サン=テグジュペリの『星の王子さま』は、物語のフィナーレをとても温かく締め括っている。近代の古典作品の中には、悲惨な人物を悲惨な結末で括ってしまうものが多い。それに比して、この作品は古典作品には見られない温かさを秘めている。この点で『星の王子さま』は非常に現代的といえるのではなかろうか。『星の王子さま』が現代でも尚多くの人々に愛され続ける理由がここにある。


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