原稿用紙10枚を書く力 ★★★★☆

書評
文章を書くことについてはいろいろな本があります。まず800字を書く力、次に2,000文字を書く力など。そして、今回の本は原稿用紙10枚、つまり4,000文字を書く力についてです。原稿用紙5~6枚でしたら、文章を書きなれている人なら、あまりいろいろ考えなくても、なんとなく書いているだけで書けてしまうことでしょう。私もそうです。2,000~2,500文字ぐらいなら、最初のパラグラフで本の全体を紹介して、次の三つのパラグラフで印象に残った部分を挙げ、最後のパラグラフで総括するとそれぐらいの文字数になります。だけど、4,000文字となるとなかなかうまく構成を考えられません。この本では4,000文字を一つのハードルと捉え、そのハードルを越えるノウハウを伝授してくれます。

構築力──文章の骨組みを最初に考える
文章をいきなり書き始める人は多いと思います。しかし、プロのライターは文章を書く前に、どのような構成で書くかを綿密に練っていきます。最初の構成がしっかりしていると文章は最後まで一貫した主張をつらぬき通すことができます。それでは、具体的にどうすればいいのでしょうか。長い文章を書くときは、まず構成を考えます。章分け、節分け、項目分けというふうに階層を作りながら、書きたいことを配置していきます。小学校ではこの構成を考えるプロセスとして、カードを使うと教えるところもあります。全体を何章で構成するのか。一つの章の中にいくつの節を配置するのか。またその節ではどういう流れで話を進めていくのか。さらに一つの節の中で項目はいくつ配置するのか。その項目はどのような流れを作るか。それらをノート(レジュメ)に書き出して、文章の流れを描いていきます。これをすることによって全体像が見えてきて、文章は書きやすくなります。最近の新書では、それぞれの章、節、項目がだいたい同じ文字数で構成されている本が多く、秩序のある配列は読み手にも読みやすい本になります。

文体──自分の立ち位置を意識して書く
私はハウツー本を多く読むのですが、こういう本の中にも結構いろいろな立ち位置を見ることができます。好感が持てるのは、対等な立場でノウハウを教えてくれる文章だったり、読者をお客さまという位置付けで語りかけてくれる本だったりです。そういう本は読んでいても不快な気分にはなりません。逆に大学教授が生徒に上から目線で語りかけているような文章で書かれている本があります。その教授の生徒だけが読むのでしたら、それはそれで全然構いませんが、一般の人が読むような本にまで生徒に対して語るような文章で書かれるのは大変不快です。「私はあなたの生徒じゃないし、あなたは私の先生じゃないでしょ!」と言いたくなるような本があります。文章は立ち位置一つで、読み手の受け取る印象が大きく異なります。自分の立ち位置をしっかり意識して書くと文章に存在感が出てきて、それが持ち味になることがあります。皆さんも、意識されてはいかがでしょうか。

自分なりの三つのポイントを抜き出す
読書感想文は、印象に残った三つのポイントをもとに書くことが多いと思います。これは五つでも六つでもいいのですが、まずは三つからです。このやり方はいろいろなものに応用できて、例えば映画評論を書くときにも印象に残った三つの場面を挙げて、その場面についてコメントを付けると映画評が書けます。絵画でも印象に残った三つの作品を挙げて、その三つについて書けば自分なりの絵画評が書けます。音楽でも同じです。一つ、二つだけでは弱い論理も、三つのポイントをうまく配置してつなげていくと、うまい映画評や絵画評が書けるようになります。三つのポイントは自由に選んでいいのですが、できるだけ距離感が離れたポイントを設定するとよいらしいです。三角形のようにそれぞれ重ならず、きちんと重心を支える関係にあるポイントを配置し、それをうまく線でつなげていくといい。

総括
長い文章を書くときには、レジュメ、ポジション、印象に残る3点ということを意識するといいということです。これはなかなかいいアドバイスです。例えば読書感想文用にテンプレートを用意する。最初から構成・ポジション・3点という仕組みを用意してしまえば、どんな本を読んでもそのテンプレートに当てはめて書けば書けるということです。1冊ごとにどうやって書こうかと悩まなくても、いつも同じ構成・ポジション・3点で書けます。書評ブロガー必読の文章ノウハウですね。

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