超訳孫子の兵法 ★★★★☆

書評
このCDは『超訳 孫子の兵法』の朗読版です。孫子の兵法を朗読したCDはそれほど売られていませんが、私の買った中では、とてもよくできた孫子の翻訳、解説書だと思います。このCDには漢文および読み下し文は出てきません。著者のかなり精度の高い翻訳のみの構成となっています。また、これまでの誤訳や錯簡などを指摘し、正しい翻訳を試みています。例えば、「朝気鋭、昼気惰・・・」、読み下し文では「朝の気は鋭、昼の気は惰、暮れの気は帰。」ですが、これを「朝の気力は充実しており、昼の気力は・・・」と訳されているものは誤訳です。朝、昼、暮れというのは比喩表現で、これは戦闘の開始時、戦闘の中盤、戦闘の後半という意味で翻訳するのが正しいのです。したがって、戦闘の初期の頃は兵士たちもよく戦うが、中頃になってくると疲れが見え始め、後半では疲れてしまってよく戦えないと翻訳するのがよいと指摘しています。このような誤訳は岩波文庫にも、講談社学術文庫にも見られ、日本人の中国文学者では間違えてしまようなところを、著者の韓国人作家の方が直しています。誤訳の存在はさまざまな本のレビューで見て知っていましたが、ではどこが誤訳なのかというところで、このオーディオブックではっきり理解することができます。

このCDは書籍の『超訳 孫子の兵法』をパンローリング株式会社がオーディオブックに焼き直したものですので、本を読んで学ぶか、耳で聞き流して学ぶかというところは迷うところです。CDとしても約1時間のCDが6枚ほどあり、全部聞くというのも結構な時間がかかります。私はオーディオブックが大好きなので、今回は読むのではなく、耳で学ぶことにしました。1日2時間、作業をしながらでも聞き流すことができるのでよかったです。パソコンをしている時や、あるいは家事をしている時にBGMとして聞くのがいいと思います。超訳シリーズはこれまで読んだことがありませんでしたが、結構定評があるみたいで、少なくとも今回私も聞いたこの孫子の兵法に関しては見事な翻訳書だと思いました。オーディオブックになじみのない方は、書籍で読まれてもいいと思います。

孫子は洋の東西を問わず、最高のビジネス書である。
序章で、孫子の兵法が現代でどのように使われているのか、またその評価はどうなのかという紹介があります。マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツやヒューレット・パッカード会長が孫子の兵法を引用したり、ソフトバンクの孫正義氏が、自らの経営原則は孫子にあると公言したり、また米軍は湾岸戦争時に孫子の兵法を活用して勝ったと言っていることなどが紹介されています。孫子の兵法は中国、アジアだけではなく、ヨーロッパでも広く読まれているようです。過去に孫子関連書籍を読んだ時、湾岸戦争に勝利したアメリカ軍のインタビューとして、孫子の兵法とクラウゼヴィッツの戦争論で勝利したと答えた米兵の話を紹介しているのを読んだことがあります。孫子の兵法の原則は、困難な事業に取り組んでいる、もしくは取り組もうとされている方にこそ、知っておいてもらいたいものです。

私はここ数年間で孫子関連書籍を数多く読んできましたが、この『超訳 孫子の兵法』は、過去最高の翻訳書だと思います。もう100点満点です。許 成準さんは元ゲームクリエーターということですが、今回の執筆に当たっては、相当孫子を研究されたみたいです。本文の中で引用される事例も新しいものが多く、かつ厳選してあるので他の事例と矛盾することがありません。これはよくできた孫子訳書だと思います。ご興味がおありでしたら、ぜひ読まれてみることをお勧めします。

超訳孫子の兵法
許成準
でじじ発行/パンローリング発売
2012-06-15



知ってると超便利な注目記事8選

世界が認めた音読の効果のすごさ!

鬼トレ500日目で変わる世界・・・恐ろしい子!

音読を7年続けているけど、何か質問ある?

デジタルドラッグのススメ

認知機能障害からの回復という奇跡

日記は忘れるために書くって知ってた?

洋書多読と多読王国が想像以上に凄い! 失敗しない多読について

フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる ★★★★☆

登録、よろしくお願いします。
 

 

1つ星 (まだ評価がありません)
読み込み中...

コメント

タイトルとURLをコピーしました