赤毛のアン ★★★★★

小説
英語学習ブログを読んでいると、女性から圧倒的に支持されているのが赤毛のアンだ。これは講談社英語文庫のレベル表記によるとTOEIC470点レベルとされ、若干レベルアップした本のようだ。今回もハードルを下げるため、私は日本語訳から挑戦することにした。この物語は孤児のアン・シャーリーが、グリーン・ゲイブルズのマリラとマシュウに引き取られ、成長していく物語だ。前回紹介したトムソーヤーの冒険がヒーローになることを運命づけられた星の下に生まれたトムの物語だとするなら、赤毛のアンは、どんなことがあっても必ず愛される少女・アン・シャーリーの物語だ。

アン・シャーリーは恵まれない環境で育った孤児特有の気の強さ、頑固さを持っているが、それを周囲に感じさせないだけの聡明さと人懐こさを備えている。グリーン・ゲイブルズに来たばかりの頃のアンは、赤毛を侮辱したリンド夫人に悪態をついてしまうが、マリラはそのことで鞭による体罰を与えるような保護者ではなく、リンド婦人に謝罪するように教育する。アンは部屋に閉じ込められ、悩みに悩むが、彼女はどうせ謝罪するなら徹底的に謝罪しようと気持ちを切り替える。アンは大げさな演技をもって謝罪し、リンド婦人に謝る。リンド婦人はうわさ話が好きで、あまりほめられた人ではないが、そういう人ともきちんと付き合えるアンは、やっぱり人とのコミュニケーションというものを心得ている。

この物語は、常にアンの会話で成り立っている。各イベントごとの描写はあまりなく、どのようなイベントがあったかということをアンとマリラの会話の中に描写している。そのため、アンは終始、非常におしゃべりな女の子なのだ。物語の最後のほうになると、このおしゃべりが若干緩和された、成長したように描かれているが、読み手としてはおしゃべりなアンが、どんなおしゃべりをして、どんなことを感じたかを読むことになる。これこそ、音読すると、とてもおもしろい本だと思う。アンが延々としゃべり続ける部分を音読して、マリラが「あんたは、もう10分以上もしゃべり続けているよ」とツッコむところなど、読んでいて思わず笑ってしまうだろう。「なら、読ませるなよ」と著者に文句を言いたくなるような独特の書き方になっている。それが、またこの物語のおもしろさだと思う。

グリーン・ゲイブルズの描写も、アンが語るからより魅力的なものになっている。アンが愛するグリーン・ゲイブルズの描写は筆写も特に力を入れているようで、季節ごとに見られる花々の描写や、風景の描写はとても美しい。アンはまさにカナダの、このグリーン・ゲイブルズという土地を心から愛しているのが伝わってくる。学校に通って、くせのあるほかの女の子たちも、決して悪く言わず、くせのあることは感じさせるが、それをもとにけんかするようなことはほとんどない。女の子特有の世渡りのうまさが垣間(かいま)見られる。

赤毛のアンは女流作家らしさが顕著に表れた物語になっている。少年のような冒険やヒーローということはないが、言いつけをしっかり守り、地域を愛し、学校を愛し、友達を愛し、家族を愛するアンの成長する様子が、読み手を楽しませ、多くの人がアン・シャーリーを愛する理由になっているのだと思う。

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