デイトレード入門―短期売買の極意 ★★★★☆

投資
この本はテクニカル分析を用いた短期投資の手法を書いた本だ。これまでの11冊の投資の教科書がすべてファンダメンタルズ分析を用いた中長期投資の本だったのに対し、この本は私の目指すテクニカル分析の手法を解説した最初の1冊目になった。全7章で構成され、序章「デイトレード入門」、第1章「デイトレードのスタイル」、第2章「短期トレードの進め方」、第3章「トレンド分析──方向を見つける──」、第4章「トレンドが教える売買のタイミング」、第5章「トレードの出口を探そう」、第6章「リスクに向き合う方法」となっている。これまで読んだ11冊でテクニカル分析を紹介している項目は、ゴールデンクロスやデットクロスなどの小手先のチャート傾向だったが、この本ではトレンドに乗ることが何より大切だと解説している。テクニカル分析とは、チャートの形を覚えることではなく、トレンドに乗る手段としてチャートを観察すること。そのことが首尾一貫して論じられている。

私がこれまで読んできたファンダメンタルズ分析の教科書と、このテクニカル分析の教科書で1カ所だけ共通している部分がある。それはトレンドに乗ることだ。この本によるとテクニカル分析とは短期売買時の上昇トレンドを見つける方法だという。このトレンドに乗るということは、例えばJACKさんの中長期投資を主眼においたイベント投資手法でも同じだ。JACKさんの本は中長期的に見て上昇トレンドをつかむということが書かれていた。この本は、その上昇トレンドを短期投資──最短3日のチャート分析──で見つけようというものだ。私はこれまでテクニカル分析とはチャートの形をひたすら覚えるものかと誤解していたが、テクニカル分析もファンダメンタルズ分析も上昇トレンドに乗るという点では同じだった。このことが分かっただけでも、この本を読んでよかったと思う。

以下で私が印象に残った部分を3カ所ほどあげてみたい。まず、バーチャートを描き上昇トレンドを見つけるには、最短でも3日必要だということだ。バーチャートで過去3日分のトレンドを分析して、2日間の上昇トレンドを見つけ勝負をかける。これがデイトレードの基本だという。テクニカル分析で良く言われるダマシというリスクもここで説明する。過去2日間上昇傾向を示したバーチャートが3日目で反落するケースとして、これをテクニカル分析の用語でダマシというそうだ。このダマシを回避する方法として過去4日間分析するという手法もあるが、本書ではダマシに関しては損切りで対処することにして、過去3日間のバーチャート分析で上昇トレンドを見つける手法に主眼をおきデイトレードを論じる。これまでの本ではバーチャートとは何かということが一切書かれておらず、言葉だけ知るのみで具体的には何も分からなかったので、この章で長らく持ち続けた疑問が1つ解消した。

二つ目は、第5章「トレードの出口を探そう」で、トレイリング・ストップについて書かれた項目だ。トレードの出口としては、先にエリオット波動理論やその他のチャート分析による出口も解説されていたが、私にはこのトレイリング・ストップが1番分かりやすかった。これは、とにかく天井を打った株価が10パーセント下がったら利益確定するというものだ。この10パーセントとは損切りのことではない。損切りについては第6章で述べられ、1回のトレードの損失額は最大でも資金の5パーセントまでとする。このトレイリング・ストップは、損小利大というスタイルを守るには1番理解しやすい出口だと思う。私のようなトレード初心者は、とかく利益確定が早すぎる傾向がある。どこまで値上がりしたら利益確定するかという問題は、私のような初心者には大きな問題だと思う。その答えとして、トレイリング・ストップの天井から10パーセント下という数値は分かりやすくて良かった。

三つ目は、第6章「リスクと向き合う方法」で述べられる投資金額の設定についてだ。投資に使う金額は資産の50パーセントまで、1回のトレードで許容される損失額は最大でも資産の5パーセントまでとする。投資の世界では3連敗、5連敗ということは日常茶飯事だという。3連敗したときに資産の60パーセント以上を失うようなトレードをしていては、この世界では生き残れない。これまで漠然と考えていた損切りラインに、資産の5パーセントまでというはっきりとした数字が認識できたことは大きかった。損失許容額を資産の5パーセントまでとして、実際に何連敗できるかというシミュレーションは大切だと思う。この本では、1つの理論を解説するときに丁寧にシミュレーションをしてくれているので、とてもありがたかった。

デイトレードの入門書としてアマゾンでも定評があったから購入してみたが、テクニカル分析を解説した本としては、とても分かりやすいと思う。ファンダメンタルズ分析の本ではPERとか、PBRといったあまり実感のわかない用語の解説に力が入っていたが、この本はトレンドの重要性という誰が読んでも納得できるところから解説されているのでとても良い。この本を読んで改めてファンダメンタルズ分析について考察してみると、株式投資で本当に重要なことは何かが、はっきりと認識できる気がする。とても良い本なので、皆さまにもぜひお勧めしたい。

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